日本文学科の特徴

少人数教育で本物の国語力を
日本人全体の国語力の低下が叫ばれています。情報を正しく受け止めて、自分なりに思考し、結論を的確に表現 する―これが大学で要求される「国語力」です。日本文学科では1年次に少人数制の国語力養成講座「大学での国語力」を新設し、 〈読む〉〈聞く〉〈書く〉〈話す〉力を養います。2年次からはゼミナールがスタートし、専門分野の研究を深めていきます。 ここでは調査・研究能力のほか、プレゼンテーションの力を磨きます。

個性豊かな3つのコースと22のゼミナール
日本文学科のカリキュラムは高い専門性を身につけるため、2年次より〈文学〉〈言語〉〈文芸〉の3つのコースに 分かれます。学生はこのうちの1つのコースに籍を置き、そのコースに設置されているゼミナールに所属します。各ゼミは20名以下の 少人数制をとっており、4年次には卒業論文・卒業制作に取り組みます。ゼミでは合宿や研修旅行などが企画され、教室以外での交流も 大切にされています。

文学コース
日本の文学作品の数々を読むことにより、作家の精神、時代の思想、文化の諸相など、幅広いテーマを探求するのが 文学コースです。
ここでは古代から近世にいたる古典文学をはじめ、近・現代の文学の特徴を基礎から学びます。また、中国文学、児童 文学、沖縄文芸、ジェンダー論、能楽、演劇、日本音楽史など、日本文学を考えるうえで関連深い分野も研究することができます。 「文学」という小さな殻に閉じこもらず、「文化」という広い視野で日本の文学をとらえるところが、文学コースの最大の特徴です。 なお、文学コースには13のゼミが設けられ、時代やジャンルごとに作品を読む力、時代や文化を洞察する力を養います。

言語コース
日本語の歴史、現代日本語の諸相、言語学から見た日本語など、「言語」の複雑さ、面白さを様々な角度から研究 するのが言語コースです。
『古事記』や『万葉集』などからうかがえる古代の日本語や、『おもろさうし』からうかがえる沖縄の古語など、 各時代・各地域における言葉の変遷を探る古典語研究。いま私たちが使っている日本語を冷静な立場から調査・分析する現代語研究。 アメリカの言語学者、チョムスキーが提唱した「生成文法」理論(現代の言語学に大きな影響を与えた、文を生み出す規則性に関する 理論)を中心に学ぶ言語学研究。4つのゼミではこれらのテーマをとりあげ、日本語の魅力に迫ります。

文芸コース
作品を解釈・鑑賞するだけではなく、自ら作品をつくりあげたいという学生のために設けられたのが文芸コースです。
文芸コースには5つのゼミがあり、第一線で活躍している作家や文芸評論家が指導にあたっています。ここでは 小説を中心にプロットや表現の方法を学んだうえで、実際に作品を書き、生きた言葉を身につけていきます。書き上げた作品は教員・学生 間で自由に批評しあい、作品を見極める力も養います。卒業制作では小説・詩・戯曲などに取り組みます。多くのゼミでは毎年ゼミ誌を 発行しています。また、優秀作品は日本文学科の文芸誌『法政文芸』に掲載されるほか、専門誌(『三田文学』など)に発表される こともあります。

昼夜開講制
日本文学科は文学部で唯一、昼夜開講制をとっています。 昼夜開講制とは、1~5時限を「昼間時間帯」、6・7限を「夜間時間帯」とし、二つの時間帯で授業を実施する制度です。昼間時間帯の中だけで卒業に必要な科目をすべて履修することもできますが、夜間時間帯においても数多くの科目が開講されており、日本文学科の学生は1~7時限に設置された科目を自由に履修することができます。仕事をしながら学びたい人、自分のライフスタイルを大切にしたい人にとっては、自分に合った時間割を自由に作成できるところが魅力です。

卒業生から
文学を学ぶことは、人や文化、時代について学ぶことだと思います。古典を読む場合であっても、現代の作品を読む 場合であっても、そこには作品を生み出した人とその人が生きた時代があり、加えて、さまざまな読み手がいます。このような思いとは 裏腹に、教員として学校で古典を教えるとなると、英語と同様に文法の習得が中心になりがちになるのも現実です。古典を読む作業は、 「教える-学ぶ」関係にかかわらず、異文化理解というに等しいものでしょう。それはことばや文化の異なる過去という時間の中に、 私達が入り込むことを意味するからです。その中で私達に必要なのは、現代に生きる人々の文化や時代思潮などを見とおす視点だと 考えます。細分化された世界の様相をひとまず大雑把に捉えるための教養と専門性を獲得すること。私はこのことを日本文学科で 学びました。(加藤博之さん 2000年日本文学科卒業 芝高等学校 教諭(国語科))

卒業生から
私の大学生活は、常に新しいことへの挑戦でした。見知らぬ地での一人暮らしや新たな仲間たちとの出会い。期待と 不安で一杯だったことを今でも覚えています。
日本文学を専攻していた私は、大学二年次で中世日本文学のゼミに入りました。高校時代の文法中心の古典とは違い、 作品をより深く読み解く事で作者の意図や時代背景を学び、古典文学の楽しさを知ることができました。また、ゼミ合宿では京都に行き、 実際に物語の舞台となった地に赴くことで、より深く作品と触れ合うこともできました。
私にとって大学4年間は、自分の将来を見つめる上で悩んだり、迷ったりすることもありましたが、学ぶことの大切さ や自分の意見を相手に伝えることの大切さも教えてくれました。この4年間があるからこそ、今の自分があるのだと思います。 (花菱輝美さん 2007年日本文学科卒業 (株)イッセイミヤケ)