日本文学科で上代文学を担当している坂本勝教授の著書『はじめての日本神話 『古事記』を読みとく』(ちくまプリマ-新書、2012年1月刊行)が、このたび「古事記出版大賞」のうち「しまね古代出雲賞」に選ばれました。
「古事記出版大賞」は『古事記』編纂1300年目にあたる今年、奈良県が設けた出版賞で、過去5年間に刊行された『古事記』関係書のなかから、『古事記』の魅力をわかりやすく伝えた図書に授与されるものです。また、そのなかの「しまね古代出雲賞」は、『古事記』と出雲ともかかわりにふれた図書に授与されます。審査には、全国の図書館員約150名と、大阪・奈良の大手書店員があたりました。去る12月23日(日)に奈良県新公会堂で授賞式と記念シンポジウムが行われ、坂本教授には賞金と記念品(勾玉ブレスレット)が今井康雄島根県教育長より贈呈されました。
『はじめての日本神話―『古事記』を読みとく―』は初心者にも配慮した『古事記』入門書で、第Ⅰ部「あらすじで読む『古事記』」、第Ⅱ部「古代人が出会った〈自然〉」の二部構成となっています。本書によれば、古代の人々にとって神話とは「いま、ここに」自分があることの意味を説くものであったといいます。そして、自然と文化の相克のなかから神話が形成されてゆくさまが、わかりやすい語り口で本書では伝えられています。
神話とは何かについて根源から考えたい方、日本の古典文学に関心をもっている高校生の皆さんに、ぜひ一読をお勧めします。 (小秋元段)