2016年度法政大学国文学会が、7/23(土)に開催されました。
例年と異なってまだ梅雨が明けきらない気候でしたが、会員の皆さまを始め、非常にたくさんのご出席の方々をお迎えすることができました。
勝又浩会長より開会の挨拶と11月に行われる小田切秀雄百周年記念行事の案内がなされた後、研究発表となりました。
最初の研究発表は、博士後期課程1年生の関口雄士さんによる「〈読む〉ことによる方法的発展―一九五〇~一九五二における石川淳の分業について」が行われ、その時代背景や文学的状況を踏まえながら、石川淳の文学的主題の変化とその表現方法への鍛錬がいかになされたかといった発表がなされました。
次に、山田夏樹助教による「三島由紀夫と北杜生―南米移民を視座として」の発表が行われ、南米の日本人移民の価値観をモチーフとした三島及び北の作品をとりまく状況に加えて、それらと手塚治虫の漫画作品との関係を述べられる等、従来の文学作品上だけでは無い、より新しい視点からの分析がなされました。続く講演は、今年度でご退職をされる黒田真美子教授による「夏目漱石の中国文学受容―南画趣味時代の漢詩を中心として―」が行われました。夏目漱石がいかにして南画及び漢詩に親しんだのかを、その生い立ち等を含めた周囲の環境から分析された後、具体的な漢詩の評価を挙げて、この時期の漢詩は低い評価を受けてはいるものの、高評化を受けた後年の漢詩への基盤になったのではなかろうか、というをお話しをしていただきました。
総会後には懇親会が催され、会員の方々をはじめ、教員や院生等にお集まりいただきました。本日の大会を振り返りつつ、黒田先生の中国語による漢詩の朗読や会員の方からの近況報告もなされ、賑やかに会は進行し、盛会のうちに終了しました。
日本文学科共同研究室助手 鈴木華織(2013年度修士課程修了)