12月10日(水)の午後15時より、大学院日本文学専攻の博士課程大学院生による研究中間発表会が開催されました。すでに学会誌などに研究論文を掲載・投稿している博士課程の院生だけでなく、指導教員らも加わり、非常に活発な議論が交わされました。
2014_12_doctor posted by (C)法政日文
金曜日, 19 9月 2025 - 10:56 |
12月10日(水)の午後15時より、大学院日本文学専攻の博士課程大学院生による研究中間発表会が開催されました。すでに学会誌などに研究論文を掲載・投稿している博士課程の院生だけでなく、指導教員らも加わり、非常に活発な議論が交わされました。
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日本文学専攻、博士後期課程研究中間報告会を、下記のとおり実施します。
博士後期課程在籍者が、研究の中間報告を行う場です。
修士課程の院生諸君も、万障繰り合わせて参加し、質疑応答に加わって下さい。
日時:2014年 12月10日(水) 午後3時10分~6時50分
場所:新見附校舎(しんみつけこうしゃ) A305教室
↑大学院棟の右の建物の3階です。
▼タイムテーブル▼
3:10~ 細沼
3:30~ 池沢
3:50~ 内田
4:10~ 須賀
4:30~ (休憩)
4:40~ 柳瀬
5:00~ 深澤
5:20~ 小田
5:40~ 藤井
6:00~ 阿部
※発表10分、質疑応答10分
本書『麹町二婆二娘孫一人』(新潮社)は公明新聞で二〇一二年一月四日から同年十二月二十九日まで「魔女五人」と題して連載された新聞小説を一つにまとめたものである。
新聞連載の家族小説で舞台が現代というと庄野潤三『夕べの雲』が頭に浮かぶが、同じ五人家族でもこちらの方が特殊だといって差し支えはない。家族が全員女性だからだ。
皇太子ご成婚の年に生まれた美智子、美智子の母で昔気質の性格を持った富子、美智子の娘でロリータファッションに身を包む真由、関東大震災の年に生まれたきく、きくの娘で夫と死に別れた紀美の五人には性別の他にも全員亥年生まれという共通点がある。各々の年齢に合わせた丁寧な描写が今作の最大の特徴だ。
この描写の根底には、作者である中沢けいが登場人物たち全員に注いでいる愛の感情がある。たとえば「婆二人」の章で、ふと富子ときくの顔を思い出し、不安にさいなまれて《どうしよう》とつぶやいてしまう美智子の心情は「婆二人」を心配する本質的な愛によって支えられている。
その後の《大きなお肉》という家族だけに通じる言葉が書かれる場面にも何とも言えない暖かみが感じられる。《大きなお肉》は一家にとって《将来の幸福の代名詞》だが、こういった魔法の言葉がわが家にもあることを思わず自覚させられる。
もちろん、登場人物たちが不安を抱えていないわけではない。富子一家ときく一家、血縁関係のない二家族が一つの家に暮らしている状態、《ざらざらした》感情や前向きに進むことを強いるような《世の中の空気のようなもので、どこからともなくかけられた号令》に反発を感じる美智子の心情も十分に描かれている。
それでも作品には心やすらぐ優しさや懐かしさがあふれている。一体、なぜだろうか。
それは作者が登場人物たちにあふれんばかりの愛情を注いでいるからだ。その愛が利己的なものではなく、あくまでも優しさに満ちている以上、これは言うほど簡単なことではない。中沢はまるで本当にそこにいるかのように彼女たちを描き、街を歩かせ、そして愛しているのである。
他にも当作品の特徴として、東京の地名が多数出てくることが挙げられる。実在する東京の街に登場人物たちを描くことが作品世界と現実を繋ぐ重要な役割を果たしているのだ。
麹町の他にも靖国神社や外濠のボートハウス等、市ケ谷キャンパスに通っている身には耳慣れた地名や建物があちこちに散りばめられているのも作品に親しみを感じさせる要素の一つになっている。これは作者が東京という街を愛しているからこその描写に他ならない。同じ電車に乗り合わせたサラリーマンが発する《街を愛している人間は誰もいないよ》という言葉に反発を覚える美智子だが、書き手もまた美智子と同じく東京という《街を愛している人間》なのである。これから作品を読む人には、本著を小脇に抱えながら東京の街を散策することをぜひともおすすめしたい。
作品と〈今〉がより密接になるのは、物語の最後、東日本大震災が描かれる場面である。このリアルな混乱の描写があるために登場人物たちの存在がいっそう身近に感じられ、作品に散見される東京の地名も際立つのだ。
これからキャンパスの近くを歩く度に何だか彼女たちとすれ違うことになりそうな、彼女たちが今日もこの街で暮らしているような、そんな気持にさせてくれる不思議な力を持った作品である。
(修士課程一年、田中ゼミ、藤原侑貴)
「担当教員がサバティカル* 明けのゼミは、高確率で定員割れを起こすらしい」
「新ゼミ生0を全力で回避しないと年間の発表回数が増える!」
ゼミ説明会を控えた間宮夜ゼミ(2年生)は、そんな緊張感と焦燥感でいっぱいいっぱいでしたが、本番から一週間経った今振り返ってみると、この時の緊張感は現ゼミ生同士の結束にいい意味で作用したかなという気がします。
また、ゼミ毎のブース説明会では同じ言語コースの他ゼミ生と1年生を巡って白熱した勧誘競争をしたり、最後には共に苦境を乗り越えた戦友よろしく連絡先を交換したり。はたまた助人で来ていた先輩方の知られざる過去話で盛り上がるなど、縦横の連携も上手くいき、勧誘する側の私たちも大いに充実した時間を過ごせました。
1年生には、なるべく多くのゼミ見学に参加した上で後悔のない選択をしてもらいたいです。
(間宮ゼミ3年 黒島伶子)
10月27日(月)の3・4校時に、日文1年生を対象としたゼミナールガイダンスを実施しました。例年11月に学生委員会主催で実施するセミ説明会は、実際に各ゼミに所属する先輩達が自分のゼミについて具体的に説明する場になっていますが、今回開催したガイダンスは教員によるもので、各コースの特色やゼミの重要性、ゼミを選ぶ際の注意点、ゼミナール選抜のスケジュールといった全般的な説明が行われました。秋学期が始まってすでに1ヶ月が経ちましたが、ただ漫然と授業に出席するのではなく、常にコース選択を念頭に置きながら日々の授業を聴くようにとの注意喚起の意味も込められています。
普通であれば、ゼミに所属するのは3年生からというカリキュラムの大学が多いのですが、法政大学の文学部日本文学科は2年生から専門ゼミに所属し、各自の専門分野について深く研究を進めていきます。これは本学科の大きな特徴になっていますが、2年生から卒業論文に至るまでの3年間の学びを大きく左右する、非常に重要な選択でもあります。1年生の皆さんには、真剣に考え、悔いのない選択をしてもらいたいものです。
10月14日(火)、858教室で、第2回目となる【日本文学科のための就活応援セミナー】が開催されました。主催は、日本文学科学生員会です。今回は、株式会社マイナビだけではなく、本学キャリアセンターの担当者の方にも講演に来て頂きました。就活について全体的な情報だけではなく、法政大学に通う学生の動向についても知ることが出来たので、より充実した内容となりました。
キャリアセンターの担当者の方によるガイダンスでは、日本文学科の先輩方は実際にどんな職種に進んでいるのか、また学部に関係なく、面接官はどのような視点で学生を見ているかということがよくわかりました。興味の薄い職種の企業も見ておくことが、企業研究の一つになることも驚きでした。これから会社説明会等の機会も増えていくので、自分のイメージで業界を一つに限定することなく、視野を広げて、行動を起こしたいです。
株式会社マイナビによるガイダンスでは、特に自己分析について、分析の方法や大事なポイントがよくわかり、今何をするべきなのかを知る事が出来ました。また筆記試験の重要さについても、為になる情報が得られました。就職活動が本格化する前に、一度今までの自分を振り返りつつ、筆記試験対策にも取り組みたいと思います。
今回のガイダンスに初めて参加した学生からも、「すごく為になったよ!」などの声も頂きました。日本文学科学生委員会としても、次回のガイダンスも、このような声を頂けるような会にしていきたいです。(加藤ゼミ 3年 米満ゆずか)
2014年9月20日(土)、9月卒業生・修了生のための学位記交付式が行われました。
日本文学科の卒業生・日本文学専攻の修了生も、複数いらっしゃいました。日文の先生方も駆けつけ、学位を授与しました。
おめでとうございます。
日本文学専攻 博士後期課程研究中間報告会を、下記のとおり実施します。
博士後期課程在籍者が、研究の中間報告を行う場です。
修士課程の院生諸君も、万障繰り合わせて参加し、質疑応答に加わって下さい。
日時:2014年 12月10日(水) 午後3時10分~6時50分
場所:新見附校舎(しんみつけこうしゃ) A305教室
↑大学院棟の右の建物の3階です。
▼日本文学専攻 博士後期課程在籍者への連絡▼
■発表者は以下の要領で準備をして下さい。
◎発表時間は、10分です。
◎(A)論文・学会発表等の成果、(B)具体的な研究内容、(C)今後の研究方針を、要領よくまとめて発表して下さい。
◎質疑応答時間は、10分です。
◎発表プリントを準備して下さい。A3、1枚分とします(裏面使用不可)。
◎発表プリントは、12月2日(火)夜8時までに、80年館8階「日本文学科共同研究室」に提出してください。
■休学中の学生、および、博士論文提出者は、発表の義務はありません。
『沖縄古語の深層 オモロ語の探究 [増補版] 』は、2008年刊行された『沖縄古語の深層 おもろ語の探究』に、「ヂャウ(門)の語源」「ウリズンの語源」「自称名詞ア・ワ(我)」「助詞ハの表記・発音」の4つの新説を加えた間宮先生の御著書です。
本書は三部から成り立っています。本土の大和言葉と比較しながらグスク・テダ・オモロなど沖縄固有の言葉の由来を紐解く第一章「沖縄古語の語源」。古典ではおなじみ係り結びの法則が実は『おもろさうし』にも存在し、その実態について考察を深め、また助詞を中心に『おもろさうし』における表記の本質を解明する第二章「オモロ語の文法と表記」。そして語源や文法について新たな視点を唱えた第三章「増補――語源・文法・表記」。
ところで、皆さんは『おもろさうし』をご存知でしたか? 恥ずかしながら私は間宮先生の講義を受けるまでその存在を知りませんでした。御著書の中にも、関西方言の「おもろい」から「面白草子」と想像したり、『おもろさうし』関係の本を購入した際に領収書に『おもしろさうし』と「し」が余計に書かれたりしたエピソードが紹介されています。沖縄イコール『おもろさうし』というほど、知名度が高いとは言えません。
そんな『おもろさうし』について何の予備知識がない人にもこの本はお勧めです。特に、沖縄と遠く隔たっている本土の古語(『古事記』や『日本書紀』・『万葉集』など)と沖縄の古語を比較し、語源や文法の謎に追究していく姿は、まるでミステリー小説を読んでいるかのような驚きと興奮を覚えます。「本当に沖縄と大和の言葉を比較する意義があるのか?」、「『おもろさうし』と本土の古典の共通点とは一体なんなのか?」、「そもそも『おもろさうし』ってなんだ?」。以上の疑問が浮かんだ方は是非ご一読下さい。
また、内容以外に間宮先生の論文の展開法も見所の一つです。とりわけ、言語を基に論文を作成しようとしている人にとっては、まさに教科書のような存在であると私は確信しています。
立石 顕規 (2012年度修士課程修了 高校教員)
中沢けい教授原作の映画『海を感じる時』が9/13(土)より公開になりました。
中沢先生の原作小説の映画化は、昨年公開された『楽隊のうさぎ』に続く2作品目となります。
原作小説『海を感じる時』は、1978年当時18歳の女子高生だった中沢先生が第21回群像新人賞を受賞をし、賞の選者だった吉行淳之介が「文学上の事件」と評した、衝撃的なデビュー作品です。
発表から約35年の時を経て初めて映像化が実現しましたが、原作が持つ鮮やかさは色あせることなくスクリーンに映し出されています。
劇場等の詳細は、映画『海を感じる時』のオフィシャルホームページをご参照ください。