『日本文學誌要』第107号が刊行されました

『日本文學誌要』(法政大学国文学会)第107号が刊行されました。

目次は下記の通りです。

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《講演:琉球文学の先端的研究》

オボツ・カグラ(他界観語)の語源 間宮厚司

オボツとオモト 福寛美

琉歌における「天」について ヤナ・ウルバノヴァー

《論文》

能〈賀茂〉の構想と間狂言 富山隆広

《卒業論文》

舞楽《青海波》の実像――歴史的意味と変化―― 片山紀花

「浅茅が宿」における手児奈伝説が与える効果について 坂本梨那

大江健三郎『万延元年のフットボール』論――不条理に見出だす蜜三郎の責任―― 中島竜樹

《書評》

中丸宣明 著『物語を紡ぐ女たち――自然主義小説の生成――』小林福実

佐藤未央子 著『谷崎潤一郎と映画の存在論』清水智史

小林裕子 著『佐多稲子 政治とジェンダーのはざまで』矢澤美佐紀

《法政大学国文学会彙報 二〇二二年度》

《法政大学国文学会会則》

《法政大学国文学会教員のつどい申し合わせ》

《投稿要項》

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『法政文芸』第18号が刊行されました

『法政文芸』第18号「特集・文学と美術を束ねて」が刊行されました。

COVIDー19の影響により、一時期は学生編集部の活動休止を余儀なくされましたが、2022年度から本格再始動しました。

目次は下記の通りです。

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巻頭詩 暗黒物質 井口時男

巻頭エッセイ 花輪和一――生きのびた童女 福山知佐子

【創作】

《小説》

交じり混ざって修羅となる 河野龍希

アリエンと出会う日 島崎里実

私の神様 長谷川奏

降りて、それから 渡邉那奈

《俳句》

世之介日記 田中秀輔

【特集】文学と美術を束ねて

《インタビュー》

息吹としての美術から人間に迫る 朝井まかて

《エッセイ》

鉄の匂い 篠原勝之

物語が見える風景 ミヤギフトシ

私の「ラオコオン」 中島晴矢

《特集企画》

書く、描く、見る

《学生レビュー》

執筆者紹介・編集後記

表紙・絵+ロゴ作成 司修

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『法政文芸』編集委員会 公式Twitterも是非ご覧ください。

 

 

 

 

佐藤未央子先生が芸術選奨新人賞(評論等)を受賞

2022年度の芸術選奨文部科学大臣賞と同新人賞の受賞者が、3月1日に文化庁から発表され、日本文学科の佐藤未央子先生が新人賞(評論部門)を受賞ました。同賞は、演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論等、メディア芸術の11部門において優れた業績を挙げた人に贈られるもので、大臣賞には映画「すずめの戸締まり」の監督である新海誠さん(メディア芸術部門)が選ばれています。

佐藤先生の受賞理由となったご著書『谷崎潤一郎と映画の存在論』は、谷崎と映画の関係について考察したもので、水声社より2022年の春に出版されました。受賞理由にもあるように、本著作は谷崎にとって映画とは何だったのかという根本的な問いを掘り下げ、スリリングな考察が素晴らしい筆致で展開されています。

ことばを追い求めるということ――山﨑修平『テーゲベックのきれいな香り』を読んで(鈴木華織)

 想像を絶する出来事が起こった時、果たして自分はその事象を満足できることばにして表すことは可能なのか。そして、その〈満足できることば〉とはいかなるものなのか。それが、詩人である山﨑修平氏の初めての小説『テーゲベックのきれいな香り』(河出書房新社)を読んでいる時に頭にあったことだ。

 忌憚なく申せば、作品は複雑であり、起承転結がある進み方とは距離を置いている。主人公で詩人の「わたし」が書こうとする、「それは詩でもない、短歌でもない、散文でもエッセイでもない、何か」という「小説」がまさしくこの作品の形容にふさわしい。

 作中の中心となるのは、2028年に起こった、名付け難く「あれ」と呼ぶしかない災害である。「わたし」は、あらゆることばが無力となる「あれ」を経験して詩の読み書きができなくなるが、神戸にある祖母の家で食べるテーゲベックの香りから、意識とも無意識とも判然としない記憶の流れがとめどなく流れ出る……、とすると誰もがプルーストの『失われた時を求めて』を想起するだろう。この作品もよどみなく「支離滅裂で脈絡のない、人間の思考」の世界が広がる。そして読み手は、その世界からあふれ出ることばの洪水に身を置くことになるのだが、その洪水は「あれ」を書き語ること、ひいては〈私〉という個人について書き語る行為の根本にある、ことばそのものをむき出しにして見つめ直すという詩人の〈挑戦〉としてあると私は感じた。

 そして、「わたし」とは別の主人公ともいうべき存在として東京の存在があり、作中には数多の東京の地名が登場する。漱石が「どこまで行っても東京がなくならない」とし、鷗外も「普請中」とした東京は、110年以上経ってもスクラップアンドビルドを絶え間なく繰り返えし増殖を続けている。そして、その増殖する地はさまざまなルーツの人たちが集う「寄せ集め」の街であり、「寄せ集めの街のことば」が思考され、飛び交い、「幾人もの記憶、整合性の取れない会話、文章」を作っている。

 私が先に〈複雑〉とした作品の展開も、東京で膨大な数がやり取りされる意識や会話のように「寄せ集め」的であるが、居心地悪くはない。なぜならば、その「寄せ集め」には隙間があり、その隙間は私たちの意識や会話そのものであるからだ。そして、その隙間は作中における「わたし」が「それなのに(整合性が無いのに―引用者)、どうして見えてしまう瞬間があるのだろう」といぶかる「瞬間」のことであり、この「瞬間」こそ「わたし」が貫く「書かないものを書く。/書かないことで書く。」ことを指すのではないかと思われる。「瞬間」自体はことばにはできない。だが、「瞬間」を「瞬間」たらしめるためのことばはある。それに気付くか気付かないか、ことばへの希求がこの小説には込められている。

(大学院博士課程 鈴木華織)

奥野紗世子さんの新作「オーシャンビューの街のやつ」が『文學界』(2022年12月号)に掲載

デビュー作「逃げ水は街の血潮」で第124回文學界新人賞(2019年度)を受賞した奥野紗世子さん(大学院日本文学専攻修士課程)の新作「オーシャンビューの街のやつ」が、『文學界』12月号に掲載されています。昨年も「無理になる」が『文學界』(2021年6月号)に掲載されていましたが、精力的に創作活動を続けているようです。日文科の皆さん、読書の秋にぜひ『文學界』12月号を手に取ってみてください。

井口可奈さんが「第4回ことばと新人賞」にて佳作を受賞!

 日本文学科卒業生の井口可奈さん(中沢ゼミ)が「第4回ことばと新人賞」にて佳作を受賞しました。応募総数は318作品で、選考委員には小説家の江國香織さんや滝口悠生さんをはじめ錚々たる方々が名を連ねています。受賞作「かにくはなくては」は、文学ムック『ことばと』(vol.6)に掲載されていますので、ぜひ手に取ってみてください。

山﨑修平さんの小説が河出書房新社から出版されます

山﨑修平さん(大学院日本文学専攻博士課程在籍中)の小説が、河出書房新社から出版されることになりました。詳細は以下のリンクをご覧下さい。

山﨑修平『テーゲベックのきれいな香り』(河出書房新社)

 

2022年度博士後期課程研究・中間報告会のお知らせ

博士論文中間報告会を下記の通り実施いたします。
博士後期課程在籍者が研究の中間報告を行う場です。
修士課程・研修生も、万障繰り合わせて参加し、質疑応答に加わってください。

詳細は下記の通りです。

★日時・会場
日時:12月7月(水)13時30分〜(対面)
会場: 大学院棟301(古典・近現代合同)
※このまま大きな変化がなければ、対面で実施します。

★発表者への連絡
・発表時間は10分です。
・(A)論文・学会発表の成果、(B)具体的な研究内容、(C)今後の研究方針
 上記3点を要領よくまとめて発表してください。
・発表資料は、A4サイズ2枚分(A3サイズ1枚分)にまとめてください。
・発表資料の締切日:11月30日(水)16時
 PDF化したものを共同研究室宛てに送ってください。送付後の差し替えは認められません。

タイムテーブル等につきましては、後日、メールにてお送りします。

 

2022年度国文学会大会が開催されました

9月24日(土)13:30~ボアソナードタワー26階にて、2022年度国文学会大会が開催されました。今年度は、初の試みとして、対面とZOOMを併用した「ハイブリッド型」での実施となりました。
はじめに、勝又浩会長より開会の挨拶がありました。勝又会長は、近年のCOVID-19や異常気象などについて触れた上で、「我々の経験したことの無いような出来事が起こるなか、国文学会はそれをどう切り抜けていくか、これから楽しみにしています。」と述べられました。

▲開会の挨拶を述べる勝又浩会長

 

一本目の研究発表は、児島誠さん(本学博士後期課程1年)による「『桜の森の満開の下』を読む――明治期以降の日本文学における桜表象の変遷――」。坂口安吾の小説『桜の森の満開の下』を中心に、日本文学における〈桜〉のモチーフがいかに機能しているか、考察がなされました。

二本目の研究発表は、富山隆広さん(本学博士後期課程3年)による「能〈賀茂〉の構想と間狂言」。能〈賀茂〉本来の間狂言が「末社アイ」であった可能性を指摘し、その変遷について考察がなされました。

講演は、間宮厚司先生、福寛美先生、ヤナ・ウルバノヴァー先生による「琉球文学の先端的研究」。『おもろさうし』に頻出し、「天上他界」を意味する語「オボツ・カグラ」について、言語学・民俗学・文学の観点からお話いただきました。

 

総会では、2021年度の会務・会計報告および今年度の会務・予算案とともに、国文学会会則第五条・第六条の改定について、承認を得ました。なお、会則改定につきましては、『日本文學誌要』第107号(2023年3月発行予定)に反映いたします。

 

『日本文學誌要』第106号が刊行されました

『日本文學誌要』第106号が刊行されました。目次は以下の通りです。

〈資料紹介〉

「源氏物語絵」一〇枚(加藤昌嘉)

〈論文〉

『源氏物語』浮舟の「尼衣」歌考(山崎和子)

岡本かの子「娘」論――スカルの競漕に秘められた希求と相克――(内田貴子)

「路地」からのユーカラ――中上健次の描いたアイヌ――(鈴木華織)

〈卒業論文〉

三島由紀夫『春の雪』における恋愛の絡繰り(藤本七愛美)

〈論文題目〉

大学院人文科学研究科日本文学専攻 博士論文・修士論文 題目一覧 二〇二一年度

文学部日本文学科 卒業論文題目一覧 二〇二一年度

通信教育部文学部日本文学科 卒業論文題目一覧 二〇二一年度

〈法政大学国文学会会則〉

〈投稿要項〉

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なお、『日本文學誌要』第107号は、2023年3月の刊行を予定しております。