東大オープンセミナー「津島佑子の文学 ―― 未来へ向けて」 が開催されます【2024年7月25日(木)】

東京大学ヒューマニティーズセンター主催、津島佑子をめぐるオープンセミナー第二回 が開催されます。

早逝した津島と長く関わってこられた、中沢けい先生(日本文学科教授)が登壇されますので、ぜひご参加ください。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

津島佑子の文学──未来へ向けて | オープンセミナー | 東京大学ヒューマニティーズセンター(HMC) (u-tokyo.ac.jp)

 

『久保田万太郎と現代 ノスタルジーを超えて』を読んで

小説、俳句、戯曲とジャンルを横断し作品を発表、活躍した久保田万太郎。慶應義塾大学にて文科に進み、永井荷風主宰の『三田文学』で一九一一年「朝顔」を発表した。そこから長く『三田文学』と寄り添っていく。そして「久保田万太郎」という創作者を生み出した慶應義塾大学に自身の死後、全ての著作権収入を慶應義塾に贈ると宣言しこの世を去った。そして逝去後、その資金は「久保田万太郎記念資金」として文学講座の開設や『三田文学』の支援等、後世に向け促進を果たした。久保田は母校への「ご恩返し」と述べていたが、その言葉以上に現代に至るまで文化事業に貢献しているといえよう。

その資金の最後の取り組みとして本書が刊行された。本書は執筆者達が様々な切り口から久保田万太郎の軌跡を辿り、魅力を読者に熱く伝えている。久保田を知っている人もそうでない人も楽しむことができるだろう。かくいう私自身、恥ずかしながら久保田万太郎の作品を拝読したことはなく知識のないまま本書を手にした。だが本書を読み、「久保田万太郎」という人物の生涯や各ジャンルでの活躍、現代に至るまでの意義を多方面から網羅することができた。

 本書は三部構成となっている。第一部では『三田文学』との関わりの変遷や久保田文学の文学性特徴といった小説家としての久保田の意義だけでなく俳句、演劇といった各ジャンルを横断し久保田が残した作品の意義を論じている。この一部を読むことで、今日に至る久保田の影響力を捉えることができた。

第二部では久保田の人間像や作品の魅力を学ぶことができる。時代の潮流を踏まえつつ、代表的な交流関係や作品と共に論じられているため、順をおって本部を読むことで久保田の生涯を辿ることができ、更に他の部の論考への理解が深められると感じた。

第三部では、現代における久保田万太郎研究の方向性を掴みとれる。これまでの研究を踏まえつつ、新たな視座を持ち人物像、作品を研究された各論考からは、更なる久保田研究の発展を読み取れた。

また、論考の間に挟まれるエッセイにも注目したい。これらエッセイは久保田の小説・俳句・劇について軌跡を辿りつつ各執筆者が思う魅力を描きだしている。久保田のデビュー作「朝顔」を酒や「もろかさな」という久保田の句から読み取る加藤宗哉氏のエッセイなど様々な観点から久保田万太郎という人となりを多角的に読み取ることができるだろう。

余談だが、久保田万太郎を詳しく存じ上げなかった私が特に興味をもったのは、谷崎潤一郎作「春琴抄」を脚色した「鵙屋春琴」についてだ。谷崎と久保田にはいくつか類似する点がある。谷崎が「刺青」で一九一〇年、久保田が「朝顔」で一九一一年にデビュー小説を発表していること、どちらも永井荷風が影響していること、浅草を舞台にした小説を書いていることなどが挙げられる。

 このように類似点がある谷崎と久保田が交わった作品として、谷崎作の「春琴抄」と脚色した「鵙屋春琴」が挙げられる。「春琴抄」との相違点を読み取ることで、演劇と小説、それぞれのジャンルでの作品の見せ方、生き方の違いを考慮した久保田のオリジナリティを垣間見ることができた。

本書から久保田万太郎の軌跡及び作品を辿ることで、当時における文芸界への貢献及び現代に至る貢献について学ぶことができた。本書から、久保田万太郎作品を深く読み込みたいと思う契機となった。

(竹澤花音 二○二三年度大学院修士課程修了)

慶應義塾大学『久保田万太郎と現代』編集委員会 編『久保田万太郎と現代 ノスタルジーを超えて』(平凡社)には、田中和生先生(日本文学科教授)、西野春雄先生(法政大学名誉教授)が寄稿されています。

ぜひ、お手にとってご覧ください。

 

 

山﨑修平さんの作品が『新潮』8月号に掲載されました

山﨑修平さん(江戸東京研究センター客員研究員)の作品「網野は変わらない」が、『新潮』2024年8月号に掲載されました。詳細は、以下をご覧ください。

新潮2024 8月号』(新潮社

次々と発表されている山﨑修平さんの作品を、ぜひお手にとってご覧ください。

 

 

『中国/日本〈漢〉文化大事典』が刊行されました

 

2024年6月20日、黒田真美子先生(日本文学科元教授)が編者をつとめた『中国/日本〈漢〉文化大事典』が、明治書院より刊行されました。
同書には、遠藤星希先生(日本文学科准教授)が寄稿されています。
中国・日本の文学・思想を学ぶ方々の必携書として編集されており、一般読者にも読みやすいように、専門用語・術語に頼らないわかりやすい解説となっております。
ぜひ、お手にとってご覧ください。
以下、書誌情報と目次は出版社サイトからの転載でございます。


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【書誌情報】
発行:明治書院
発行日:2024年6月20日
書店発売日:2024年7月1日
定価:41,800円(38,000+税)
頁数:B5・952ページ
ISBN:9784625404108

【内容】
中国の伝統文化としての〈漢〉文化(文学・思想・芸術等)と、それを受容・展開した日本文化の深層に残る〈漢〉文化の総体を一冊に

  • 中国編(先秦~近代、253項目)、日本編(上代~近代174項目)で構成
  • 大項目・中項目により、「引く事典」であるとともに「読む事典」
  • 専門用語・術語に頼らない、わかりやすい解説
  • 付録:参考地図/日本と東アジア各国との交流年表

 

【目次】

収録項目

【中国編】
漢字(誕生・起源) 音韻学 暦 経書・経学 楽 訓詁学 目録学 叢書 総集 類書 科挙 出版文化 神仙 隠逸 三教一致 女性詩人 文学批評 文言小説 書 絵画 庭園 茶 先秦の文学・思想 神話・伝説 西王母 詩経 楚辞 周易 尚書 礼 春秋 論語 孝経 孔子 孟子 荀子 墨子 黄帝 老子 列子 荘子 韓非子 宗廟 陰陽五行 社 秦漢の文学・思想 賈誼 淮南子 賦 司馬相如 董仲舒 史記 列女伝 古詩 泰山 太一 巫 讖緯 揚雄 漢書 王充 説文 鄭玄 六朝の文学・思想 駢文 楽府 曹操 建安の七子 曹植 阮籍 嵆康 竹林七賢 三国志 潘岳 陸機 王羲之 山海経 志怪 捜神記 陶淵明 謝霊運 世説新語 鮑照 謝朓 沈約 竟陵の八友 文心雕龍 詩品 文選 玉台新詠 庾信 顔之推 水経注 荊楚歳時記 玄学 関羽 天師道 葛氏道 養生 洞天福地 道観 漢訳仏典 格義仏教 慧遠 菩薩 盂蘭盆 密教 浄土信仰 声明・梵唄 唱導文学 隋唐五代の文学・思想 王通 五経正義 石経 律令 貞観政要 則天武后 初唐四傑 陳子昂 劉知幾 近体詩 孟浩然 王昌齢 王維 高適 李白 顔真卿 杜甫 岑参 韋応物 伝奇 古文 韓愈 劉禹鍚 白居易 柳宗元 元稹 賈島 李賀 杜牧 李商隠 温庭筠 皮陸 変文 禅 科儀 宋代の文学・思想 文苑英華 太平広記 三清 玉皇 道蔵 范仲淹 欧陽脩 資治通鑑 王安石 蘇軾 黄庭堅 米芾 徽宗 詞 筆記 詩話 棠陰比事 岳飛 陸游 朱熹 朱子学 風水 城隍神 文昌帝君 媽祖 内丹 正一教 文章軌範 王応麟 文天祥 金元代の文学・思想 元曲 呉澄 散曲 全真教 明代の文学・思想 宋濂 高啓 白話小説 三国志演義 水滸伝 西遊記 金瓶梅 封神演義 文徴明 帰有光 王世貞 胡応麟 袁宏道 菜根譚 五雑組 三言二拍 馮夢龍 明曲 王守仁 陽明学 林兆恩 李贄 東林党 宝巻 八仙 漢文笑話 清代の文学・思想 顧炎武 王夫之 黄宗羲 銭謙益 金聖嘆 李漁 王士禛 聊斎志異 沈徳潜 紅楼夢 儒林外史 袁枚 紀昀 清朝考証学 朱彝尊 方苞 戴震 趙翼 銭大昕 章学誠 龔自珍 魏源 曽国藩 秋瑾 林紓 康有為 王国維 梁啓超 近代の文学・思想 文学革命 蔡元培 章炳麟 魯迅 周作人 胡適 郭沫若 茅盾 郁達夫 老舎 聞一多 巴金 張愛玲 民間故事

【日本編】
漢文学の受容と変容 中国観の変遷 漢文訓読・訓点 字書 類書 和歌と漢詩 歌学と詩論 書 唐絵 庭 漢籍の出版 上代の漢学・漢文学 聖徳太子 古事記 日本書紀 懐風藻 万葉集 遣隋使・遣唐使 平安時代の漢学・漢文学 六国史 嵯峨天皇 凌雲集 文華秀麗集 経国集 空海 文鏡秘府論 入唐求法巡礼行記 渤海使 小野篁 島田忠臣 菅原道真 日本国見在書目録 新撰万葉集 千載佳句 古今和歌集 句題和歌 漢文日記 仮名日記 平安朝物語文学 枕草子 源氏物語 本朝麗藻 和漢朗詠集 本朝文粋 類聚句題抄 類書 藤原忠通 今昔物語集 白氏文集 李嶠百詠 遊仙窟 蒙求 新撰字鏡 倭名類聚抄 類聚名義抄 願文 詩序 幼学書 往来物 大学寮 陰陽道 雅楽 鎌倉時代室町時代の漢学・漢文学 五山文学 栄西 道元 円爾 夢窓疎石 虎関師練 義堂周信 絶海中津 一休宗純 新古今和歌集 平家物語 太平記 徒然草 説話文学 孝子伝 謡曲 抄物 一条兼良 清原宣賢 詩歌合 和漢聯句 古文真宝 三体詩 聯珠詩格 金沢文庫 足利学校 墨蹟 水墨画 江戸時代の漢学・漢文学 雅俗 朱子学 藤原惺窩 林羅山 林家 木門 室鳩巣 新井白石 雨森芳洲 陽明学 中江藤樹 熊沢蕃山 古義学 伊藤仁斎 伊藤東涯 古文辞学 荻生徂徠 服部南郭 皆川淇園 懐徳堂 考証学 水戸学 昌平黌 寛政異学の禁 隠元 儒家神道 琉球の儒学 朝鮮通信使 唐話学 藩校 寺子屋 江戸漢詩 石川丈山 元政 唐詩選 大田南畝 都賀庭鐘 文人 詩社 詩話 市河寛斎 柏木如亭 広瀬淡窓 菅茶山 頼山陽 梁川星巌 菊池五山 大沼枕山 漢文戯作 仮名草子 狂詩 談義本 洒落本 読本 上田秋成 曲亭馬琴 本居宣長 俳諧 松尾芭蕉 与謝蕪村 老荘思想 白話小説 明治時代の漢学・漢文学 漢文教育 新聞・雑誌と漢文学 漢文小説・繁昌記 三島中洲 中江兆民 成島柳北 依田学海 中野逍遥 菊池三渓 森槐南 森春涛 野口寧斎 正岡子規 夏目漱石 森鴎外 幸田露伴 芥川龍之介 近代作家と漢文学

2024 年度修士論文中間発表会のお知らせ

人文科学研究科日本文学専攻「修士論文中間発表会」を、下記のとおり対面で実施します。

日時:2024 年 7 月 24 日(水) 13 時 00 分~

場所: 大学院棟 202 教室

修士課程2年生が、研究の中間報告を行う場です。その他の日本文学専攻の院生・研究生・研修生も、万障繰り合わせて参加し、質疑応答に加わって下さい。特に、修士課程1年生は参加が原則となります。

 

第7回 全国大学生俳句選手権大会が開催されます【2024年9月21日(土)】

鈴木しづ子顕彰プロジェクト実行委員会主催による、第7回 全国大学生俳句選手権大会が開催されます。

公募の中から、最終選考の6チームが、俳句と俳句を題材にした演劇や書道パフォーマンスで競い合う大会です。

作品提出・応募締切は2024年7月19日(金)までとなります。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。

第7回全国大学生俳句選手権大会_作品募集案内

 

山﨑修平さんの作品が『現代詩手帖』6月号に掲載されました

山﨑修平さん(江戸東京研究センター客員研究員)の作品が、『現代詩手帖』最新号に掲載されました。

作品特集 声のありか への発表です。

詳しくは、以下のリンクをご覧ください。

現代詩手帖』(思潮社

詩人、作家、文芸評論家として多才に活躍されている山﨑修平さんの作品を、この機会にぜひお手にとってご覧ください。

 

『現代文藝研究』第三号が刊行されました

 

『現代文藝研究』第三号が刊行されました

『現代文藝研究』は2002年12月に現在編集長をつとめる藤村耕治先生(日本文学科教授)が創刊同人として発行した文芸同人誌です。2005年に第二号を刊行後に休刊していましたが、長い復刊準備期間を経て、このたび再刊しました。

今号は「【特集】大江健三郎」「【小特集】『星雲』と立石伯」となっております。

特集では中丸宣明先生(日本文学科教授)の特別寄稿とともに論文を4点掲載しています。大江健三郎という汲めども尽きぬ魅力をもった巨大な対象をどのように読んで捉えるか、各々の視点で示したものです。小特集で取りあげた『星雲』は立石伯氏が創刊時から参加された文芸同人誌で、同人の多くが日本文学科に在籍していました。また、立石伯氏(堀江拓充先生)は日本文学科で長く教鞭をとられました。その『星雲』と立石伯氏の歩みを小特集としました。

本誌についてのお問い合わせは『現代文藝研究』事務局(法政大学80年館8階 藤村研究室)までお願いいたします。

再刊の機会に、ぜひ、お手にとってご覧ください。

以下、書誌情報でございます

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*書誌情報*

発行:現代文藝研究会

発行日:2024年4月30日

定価:1,000円

頁数:174ページ

ISSN:1347-9865

*目次*

【特集】 大江健三郎

〈特別寄稿〉

「万延元年のフットボール」を日本の文学史のなかにおいてみる    中丸 宣明

〈論文〉

聴くことが困難な他者にむけて――大江健三郎『ピンチランナー調書』論――  松本 拓真

『「雨の木」を聴く女たち』における「連作」と女性的なもの――『大江健三郎全小説9』読解のために――  池沢 充弘  

救いとしての意味づけ、語り、祈り――大江健三郎『燃え上がる緑の木』論――  細沼 祐介

大江健三郎 最晩年のスタイル――〈変形私小説〉としての『晩年様式集』――  藤村 耕治

〈資料〉

大江健三郎関連文献目録(二〇一三年九月~二〇二四年四月)

 

【小特集】『星雲』と立石伯

立石伯インタビュー 聞き手:『現代文藝研究』編集部(藤村耕治/関口雄士)

『星雲』総目次・同人変遷・同人著作目録                 

〈論文〉

立石伯論――未完の非転向、憂愁なる魂の叫び声――   服部 一希

立石伯自筆年譜

編集後記

 

 

 

小秋元段著『太平記新考』が刊行されました

2024年2月、汲古書院より小秋元段先生(日本文学科教授)の著書『太平記新考』が刊行されました。

本書は『太平記』の本文・作品研究等にかかわる15章からなる研究書となります。このうち、第4部第1章「国文学研究資料館蔵『太平記』および関連書マイクロ・デジタル資料書誌解題稿」は初出時の内容に対して、国文学研究資料館におけるデジタル資料の公開の進展を受け、大幅に増補されています。また、第5部「研究の来歴」第2章「1999年~2023年」も、本書への収載にあわせて、最新の研究動向まで論評されています。

日本での研究者人口の減少を踏まえ、「世界のどこかにいる、『太平記』に関心を寄せる若手が、本書を頼りに伝本の情報を収集し、研究動向を把握してくれれば嬉しい」と著者は語っています。

ぜひ、お手にとってご覧ください。

以下、書誌情報と目次でございます。

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【書誌情報】

発行:汲古書院

発行日:2024年2月20日

定価;12,100円(本体11,000円+税)

頁数: A5・440ページ

ISBN: 9784762936852

【目次】

はじめに

第一部 古態の探究

 第一章 巻四における古態本文の探究
  一 はじめに        
  二 異同の概要       
  三 A系統とB系統の先後
  四 A系統増補記事の典拠  
  五 D系統・E系統の位置  
  六 むすび

 第二章 巻三十八の古態本文とその世界
  一 はじめに        
  二 畠山道誓滅亡記事の異同 
  三 両系統の先後関係
  四 細川清氏討死記事の検討 
  五 細川頼之に対する評価の問題

第二部 神田本の検証

 第一章 神田本本文の基礎的考察――巻十六を中心に――
  一 はじめに        
  二 神田本本文の基底――玄玖本との比較から――
  三 神田本巻十六の古態性  
  四 神田本の古態性に対する留保 
  五 巻十五後半について   
  六 むすび

 第二章 巻二十七「雲景未来記事」の編入過程
  一 はじめに        
  二 巻二十七の異同の概要  
  三 巻二十七の本文異同にかかわる主な先行研究    
  四 「雲景未来記事」の位置と評価            
  五 神田本・西源院本の古態性に対する疑問      
  六 諸本の検討       
  七 吉川家本の検討     
  八 むすび

 第三章 神田本の表記に関する覚書――片仮名・平仮名混用と濁点使用を中心に――
  一 はじめに        
  二 片仮名・平仮名混用の淵源 
  三 神田本『太平記』の表記法の全体像        
  四 片仮名・平仮名使用の実態
  五 他資料の状況      
  六 濁点の使用     
  七 むすび

第三部 作品とその周辺

 第一章『太平記』における禅的要素、序説
  一 はじめに        
  二 研究史を振り返る  
  三 禅に由来する句の引用
  四 『太平記』作者と禅宗との距離          
  五 むすび

 第二章『源平盛衰記』と『太平記』――説話引用のあり方をめぐって――
  一『太平記』と『平家物語』諸本  
  二 延慶本における説話引用 
  三 盛衰記における説話引用    
  四 『太平記』における説話引用   
  五 むすび

 第三章『梅松論』における足利尊氏――新たなる将軍像の造形――
  一 『梅松論』における歴史叙述  
  二 尊氏正当化の方法   
  三 頼朝と重ね合わせること 
  四 御当家の佳例         
  五 新たなる将軍像の造形 
  六 観応擾乱の影

 第四章 室町時代における『太平記』の享受――『応仁記』を中心に――
  一 十四世紀前半における『太平記』の享受   
  二 『応仁記』における『太平記』受容
  三 なぜ『応仁記』に注目するのか

第四部 伝本の考察

 第一章 国文学研究資料館蔵『太平記』および関連書マイクロ・デジタル資料書誌解題稿
  はじめに    
  一 写本    
  二 古活字本    
  三 整版本     
  四 抜書   
  五 参考太平記および関連書    
  六 太平記賢愚抄  
  七 太平記鈔・太平記音義 
  八 太平記秘伝理尽鈔および関連書 
  九 太平記評判私要理尽無極鈔 
  一〇 太平記大全および関連書   
  一一 太平記綱目   
  一二 首書太平記  
  一三 太平記在名   
  一四 その他         
  附 国文学研究資料館蔵『太平記』および関連書書誌

 第二章 国文学研究資料館所蔵資料を利用した諸本研究のあり方と課題
               ――『太平記』を例として――
  一 はじめに         
  二 『太平記』写本について 
  三 『太平記』古活字本について
  四 『太平記』整版本について 
  五 『参考太平記』『太平記秘伝理尽鈔』について
  六 マイクロ資料をめぐる課題 
  七 むすび

 第三章 松浦史料博物館所蔵『太平記』覚書
  一 はじめに
  二 その古態性
  三 本文の混合化
  四 各巻の本文
  五 むすび

 第四章 東北大学附属図書館漱石文庫所蔵古活字版『太平記鈔・音義』表紙の復原的考察
  一 はじめに         
  二 漱石文庫の『太平記鈔・音義』
  三 『太平記鈔・音義』の表紙裏反古     
  四 刷反古をめぐって     
  五 むすび

第五部 研究の来歴

 第一章 一九八五年〜一九九八年

 第二章 一九九九年〜二〇二三年
  一 『太平記』とはいかなる作品か 
  二 『太平記』の文学史的環境(一)――漢籍受容を中心に――
  三 『太平記』の文学史的環境(二)――和歌受容、史的背景を中心に―― 
  四 諸本研究の進展      
  五 享受史研究の進展       
  六 日本語学的研究の可能性――むすびにかえて――

初出一覧
あとがき
索引
 人名の部
 書名の部
 『太平記』伝本の部
 研究者の部
 所蔵者の部

『村田沙耶香(現代女性作家読本21)』が刊行されました

 

スペッキオ・アンナ(編集) 『村田沙耶香(現代女性作家読本21)』が、5月24日に鼎書房から刊行されました。

同書には、藤村耕治先生(日本文学科教授)および本学卒業生の矢澤美佐紀さん(法政大学講師)、柳井貴士さん(愛知淑徳大学教員)が寄稿されています。

ぜひ、お手にとってご覧ください。

以下、書誌情報と出版社サイトからの内容の転載、目次でございます。

   ※

【書誌情報】

 

発行:鼎書房 

発行日:2024年5月24日

定価:2,200円

頁数:170ページ

ISBN: 978-4-907282-98-1

 

【内容】

2005年より刊行を開始した「現代女性作家読本」は、第1期10巻、第2期10巻、別巻の二つを加え、合計22巻。2024年より第3期をスタート。第一巻目は村田沙耶香を取り上げる。

近年、日本国外でも高い評価を受け、現代日本文学をリードする存在とも言える村田沙耶香。
1970年代末に生まれ、幼少より執筆を開始。第155回芥川賞を受賞。人間の内面に隠された闇や、既存の価値観をゆさぶるような村田沙耶香の作品は、普通や常識とは何か、性とは何かを読者に訴え考えさせる。

村田沙耶香から始まる第3期。若手の研究者を含めた幅広い執筆陣による柔軟で刺激的な論稿は、シリーズで取り上げる女性作家だけにとどまらず、現代文学研究全体への新たな地平を切り拓いていく。

 

【目次】

はじめに

村田沙耶香の文学世界―水槽の中のユートピア―  スペッキオ・アンナ

『授乳』―〈私〉の世界のはじまり―  永井里佳
『マウス』―教室内カーストと役割の魔力―  松下優一
「ギンイロノウタ」―ギンイロのステッキが向く先は―  栗山雄佑
「星が吸う水」―性的マジョリティを下支えするマイノリティ―  片岡美有季
『ハコブネ』―女性たちの〈性〉の模索、「箱舟」に乗ることの意味―  押山美知子
『ハコブネ』―洪水後を生きる―   西井弥生子
『ハコブネ』―「自分史」のようなもの―  大山英樹
『タダイマトビラ』―虐待の先にあるトビラ―  ダルミ・カタリン
『しろいろの街の、その骨の体温の』―言葉で、傷を奏でる―  錦咲やか
「殺人出産」―得得と「気付く」救いの危うさ―  金 昇渊
『殺人出産』―ユートピア/ディストピアを超えて―  矢澤美佐紀
「清潔な結婚」―性役割のない家族に向けて―  モーロ・ダニエラ
『消滅世界』における村田沙耶香の抗争―呪われる人々のために―  侯 冬梅
『コンビニ人間』―ポストヒューマン的読みの可能性―  クリーマン・フェイ
『コンビニ人間』―存在変容の可能性としての物語―  藤村耕治
『コンビニ人間』―「常識」・「正常性」と闘う世界文学的作品―  前みちこ
『地球星人』―魔法少女から宇宙人への変態をめぐって―  遠藤郁子
『私が食べた本』―食べ続けていくという覚悟―  八上祐子
『生命式』―食、性、儀式を通して浮かび上がる「世界」の境界―  神村和美
「生命式」―回収されるクィアな欲望―  榊 裕希
「生命式」―正常と狂気の越境―  櫻庭太一
「変かわりみ半身」―不真面目な人間たちと真面目な家畜―  泉谷 瞬
『きれいなシワの作り方 淑女の思春期病』―ジェンダー規範に抗うつつましくしとやかな女性―  レティツィア・グアリーニ
「変半身 かわりみ」をめぐって― 〈ニンゲン〉の終わり―  スペッキオ・アンナ
「満潮」―自分のものを探り当てる―  スペッキオ・アンナ
「丸の内魔法少女ミラクリーナ」―魔法少女として生き続けるということ―  上戸理恵
「信仰」―「現実」という幻想 ―市川紘美
「信仰」―「現実」という名の「幻覚」とともに生きる世界―  山田昭子
「信仰」―「信仰」の言葉による「リベンジ」は可能か―  但馬みほ
村田沙耶香 年譜―  スペッキオ・アンナ
村田沙耶香 主要参考文献―  スペッキオ・アンナ
『コンビニ人間』から「無」へ―「正常」と「異常」が交錯する世界の不/可能性をめぐって―  柳井貴士

村田沙耶香 年譜―  スペッキオ・アンナ
村田沙耶香 主要参考文献―  スペッキオ・アンナ